自由な発想の庭園デザイン

- 型にはまらない植栽計画が生み出す、新たな空間価値 -

近年、私たちの周りでは、多種多様な植物が手軽に入手できるようになりました。そんな時代だからこそ、愛媛県の個人邸の庭園づくりでは、あえて遠方、関東の地から取り寄せられた、枝ぶりが特徴的な高木のロシアンオリーブが、ひときわ目を引く存在感を放っています。

もちろん、このロシアンオリーブだけではなく、庭には様々な植物が息づいています。それぞれの植物が持つ個性と美しさや配置によって引き立てられ、邸宅全体の景観に豊かな表情を与えています。特に、これから成長していくロシアンオリーブは、その葉の茂りによって、庭にさらなる奥行きと陰影をもたらし、空間の質を高めていくことが期待されるでしょう。

一般的に、庭のデザインを考える際、「和風」「洋風」「和モダン」といったスタイルを意識し、それぞれのイメージに合った植物を選ぶのが一般的かもしれません。しかし、この邸宅の庭づくりにおいては、そうした既存の枠組みにとらわれることなく、住まう方の個性やライフスタイルを反映した、自由な発想による空間創造が試みられました。それは、伝統的な「造園」という言葉や、建物の外回りを整える「外構」という言葉だけでは、十分に表現しきれない、新たなランドスケープが誕生しました。

庭にどんな植物を選び、どのように配置していくか。その過程には、明確な正解があるわけではなく、だからこそ、設計者は様々な可能性を検討し、試行錯誤を繰り返しながら、理想の空間を追求する。その道のりは決して平坦ではなく、完成した庭園は、固定観念にとらわれない、独創的な美ししさを湛えています。